卒業制作展2018レポート 【空間デザイン領域編】
暮らしをつくる空間デザイン領域編
空間デザイン領域ってどんなところ?
私たちの生活をとりまくさまざまな分野の専門を横断的に学ぶことができる、それが空間デザイン領域です。生活の基本要素である「衣」「モノ」「住」を空間的に扱う専門分野コスチュームデザイン、プロダクトデザイン、住環境デザインの3つの視点から、「空間デザイン」を見つめます。
新しい機能を持った場をつくり、
まちの風景を担う住環境デザイン
空間デザイン領域には、住環境デザインコース、プロダクトデザインコース、コスチュームデザインコースの3コースがあります。
住環境デザインコースでは、建築やインテリア、ランドスケープなどを横断的に学びます。人が暮らす場、集う場、はたまた新しい機能を持つ場のデザインは、何十年先も環境を左右する役割を担います。
環境そのものをデザインすることは、あらゆる文脈からその土地を読み解き、課題を探り、新たな解決方法を示すことでもあるのです。
住環境デザインコースで優秀賞を獲得した「ほらあな公園」(田中美咲さん)は、子どもたちがのびのびと外遊びできる空間が減少している問題を解決するため、“自然と人口のはざま”をコンセプトにデザインした公園を提案。
自然の地形をいかして設計された公園の模型を見ていると、子どもの頃に裏山やちょっとした空き地につくっていた秘密基地を思い出します。
便利さや快適さに
かたちを与えるプロダクトデザイン
プロダクトデザインコースでは、雑貨やインテリア、そして先端技術を用いた商品など、生活を豊かにするデザインを学びます。
優秀賞作品「Rebirth デスクで使用できる仮眠器具の提案」(田中寛人さん)は、睡眠不足に陥りがちな日本のビジネスパーソンに向け、オフィスで使える仮眠ツール。
15?20分程度の仮眠(パワーナップ)を快適な姿勢?環境で行えるようデザインされたプロダクトです。
展示会場を進むと、特撮ヒーローのイベント会場さながらの空間も……!
必威体育では2015年に「成安造形特撮部」が有志によって創部され、「芸大星ディザイアン」というヒーローが生まれました。成安造形特撮部のメンバーでもあるプロダクトデザインコース?斎藤雅志さんの展示では、歴代キャラクターのデザインや設定、アイテムの数々が展示されていました。
特撮部OB?OGから受け継いできた歴代キャラクターの細かな設定図や、つくり込まれたアイテムの数々から特撮愛がビシビシ伝わってきます。さらに、ホールでは「芸大星ディザイアン ヒーローショー」も行われ、ちびっ子たちに大人気でした。
素材から手がける
唯一無二のコスチューム
染色や織物の技術を学び、ときには素材から自分で手がけ、オリジナルの服づくりを目指すコスチュームデザインコース。展示会場には、4年間の集大成として制作された各学生の個性豊かなコスチュームがトルソー(マネキン)やインスタレーションで展示されています。
優秀賞の「体の線」(土屋亜紀子さん)は、抽象画のような1枚の布から、人が着ることではじめて衣服として機能するコスチュームを制作。
また、コスチュームデザインコースは京都文化博物館別館で行われるファッションショーも見逃せません。次回のレポート最終回では、ファッションショー「SEIAN COLLECTION 2018 -costume-」の様子を舞台裏を交えてお伝えします。
取材日:2018/02/11
取材?文:小西七重
写真:加納俊輔